この度、CT撮影装置(コンピューター断層撮影装置)を更新致しました。
従来より設置されていたCT装置は、検出器が80列のタイプでした。検出器とは、画像を作るのに必要な
放射線を受ける側の機械です。
今回導入したCT装置は、検出器が320列あり1回転の撮影で、16㎝の範囲を0.5mmの間隔で撮影する事が
できます。今までは1回転で4cm幅の撮影範囲のため、寝台を移動しながらの撮影でしたが、今回のCTは
16㎝以内の撮影ならば寝台の移動なしに検査が行えます。
頭部や心臓の撮影では、一回転(0.35秒)で撮影する事ができ、これにより体動がある方、小児の撮影にも有効で画質も向上します。
また、広範囲の撮影であっても、撮影時間の短縮により息止め時間が短くなり患者さんの負担軽減、被ばく線量減少に繋がり、造影剤を使う検査でも撮影時間短縮により、造影剤の使用量を低減する事ができます。
新規CTの特徴について、記してきましたが320列CTの機能をもっとも活かせる検査が、冠動脈CT撮影であります。
心臓の表面を走行している血管、冠動脈を造影剤を使用しての撮影となります。
前述したように、一回転での撮影により撮影時間短縮、被ばく低減、造影剤量減少等は元より、不整脈のある方の冠動脈CT撮影に有効です。
今までは冠動脈CTの撮影中に不整脈が出た場合、撮影後の画像構築が容易ではなく、思い通りの画像が得られませんでした。
今回のCTでは、設定した心拍内に不整脈が出たら自動的に検出し、撮影を一旦中断し、必要な次の心拍データを追加で撮影する機能が搭載されています。これにより、安定した画像構築が行えます。
今回CT装置更新に伴い、各種機能が追加され患者さまの負担軽減につながる撮影が可能になったと思います。今後とも新しい機能等使いこなし、診断、診療の力となり地域住民の方が安心して受けられる医療を目指したいと思います。
放射線技師長 森村雅彦