病院の中には医師や看護師の他に、レントゲン・CT・MRIなどを扱う診療放射線技師、血液や細菌検査・心電図や脳波などの検査を行う臨床検査技師、リハビリテーションを行う理学療法士などのメディカルスタッフが働いています。
ここでご案内する『臨床工学技士』も病院で働くメディカルスタッフです。
臨床工学技士はME(medical engineer)とも呼ばれており、病院内の医療機器の保守・点検・管理・運用・操作を行っています。
当院での主な臨床工学技士の業務としては以下のものがあります。
肺の機能が低下し、呼吸が十分にできなくなった患者に呼吸を代行するための人工呼吸器という装置が装着されます。
その際臨床工学技士は人工呼吸器が稼働している場所へ行き、安全に使用されているか、異常がないかを毎日確認しています。
慢性呼吸不全や慢性心不全などの患者様のうち酸素をうまく体の中に取り込めない患者様が退院し、自宅などの病院の外で酸素を必要とするとき酸素濃縮器という機械を使います。
臨床工学技士は在宅酸素が必要な患者様がいた時、機械の選定、患者様・ご家族の方に機械の操作方法を説明しています。
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)はその名の通り、睡眠中に呼吸が止まってしまう病気です。
通称「SAS」とも言われます。医学的には、10秒以上気道の空気の流れが止まった状態を無呼吸とし、一晩(7時間の睡眠中)に無呼吸状態が30回以上、または1時間あたり5回以上あれば、睡眠時無呼吸であると言えます。
特に重度の無呼吸症候群の方に対し臨床工学技士はCPAP 装置という機械の説明や管理、また患者様にあったマスクの提案等行っています。
心臓の血管が細くなり、胸が痛い、チクチクするなどの症状を訴える患者様に行う検査のうちの一つに心臓カテーテル検査というものがあります。当院の臨床工学技士は心臓カテーテル検査の際必要な物品を出し、心臓カテーテル室の機械の操作やIVUS(アイバス)という血管を内側から見るエコーを操作し計測や病態にあったより良いデバイスの提案を行っています。
また、清潔野でのドクターへの介助等も行っています。
https://www.nihonkohden.co.jp/iryo/index.html?URL=/iryo/products/cathlab/01_cath/rmc5000.html
https://www.terumo.co.jp/newsrelease/
めまい、軽いふらつき、失神、息切れ、動悸がある患者様の中でペースメーカーという心臓に電気を流して心臓を刺激する機械が必要な患者様がいます。
臨床工学技士はこのペースメーカーの操作や長期的な管理、患者様・ご家族様に機械の説明を行っています。
https://www.medtronic.com/jp-ja/index.html
胃や大腸を検査する際、内視鏡検査というものがあり内視鏡という細長いカメラを用い検査します。
臨床工学技士はこのカメラをセッティング、洗浄し、時には鉗子という組織をつかむ器械の操作、介助を行っています、
また、どの患者様も安心して検査できるようカメラの管理を徹底しています。
https://www.medicaltown.net
臨床工学技士は手術を行う際外科医や麻酔科医、手術室看護師と共に連携し、手術室機械(麻酔器、電気メス、腹腔鏡等)の管理・点検やトラブル対応、外回り看護師のサポートなどを行っています。
また、腹腔鏡オペという腹部に5-12mm程度の小さな切開(穴)をあけて、内視鏡や手術のための鉗子やハサミを挿入するための筒を挿入し行う手術では臨床工学技士がスコピストというカメラ持ちを行います。
https://www.gehealthcare.co.jp
高気圧酸素治療とは大気圧(1気圧)より高い気圧環境の中で、酸素を吸入することにより病態の改善を図ろうとする治療です。
https://www.khi.co.jp/corp/ke/product/oxygen.html
臨床工学技士 岡村 望