長寿国日本では、ますます高齢化が進んでいます。2025年には、75歳以上の人口が急激に増加すると言われています。また、要介護認定率は75歳を境に上昇します。
そのため、『健康寿命』を延ばす(高齢者が要介護状態になるまでの期間をできるだけ長く保つ)ことが大事になってきます。
皆さん『フレイル』という言葉を聞いたことがありますか?日本語にすると『虚弱』という意味の言葉です。
フレイルというのは、加齢により心身の活力・運動機能・認知機能等が低下することで、生活機能が障害され、「心身の脆弱性」が出現した状態です。いわば「健康」と「要介護」の間の状態を意味します。
例えば
・転びやすくなった
・外出が少なくなった
・嚙み切れないものが増えて体重が減ってきた 等が挙げられます。
このように、フレイルは加齢だけでなく元々持っている病気や栄養面の低下、閉じこもりといった身体的・精神心理的な面や社会的要因が影響を及ぼすことがわかっています。
「健康」な状態から「要介護」に陥ると、なかなか元の状態に戻すことは大変です。
しかし、フレイルは適切な介入・支援によって生活機能の維持や向上が可能な状態です。
医療では高齢者の病気や薬の管理、栄養状態の管理をおこないますが、個人が自身の身体・精神面に注意を向け、フレイルを予防することが大切です。
「身体的フレイルの予防」
・ウォーキング ・無理のないストレッチや筋力トレーニング
「オーラルフレイル・低栄養の予防」…食事・口腔機能
・規則正しく3食摂取
・エネルギーになる主食、血や肉になる主菜(たんぱく質)、身体の調子を整える副菜(ビタミン/ミネラル/食物繊維)をバランスよく
・口腔ケア、義歯のお手入れ、定期的な歯科検診
「精神・心理的フレイルの予防」…余暇活動や社会参加
・知人と食事や買い物に出かける
・ボランティアグループや体操教室等の地域活動への参加
・趣味活動の継続
両手の親指と人差し指で「指輪っか」を作り、ふくらはぎの一番太い部分に当ててみる
→ 囲んだふくらはぎと指の間に隙間が出来たしまった方は、筋力が低下し、フレイルの可能性があります。
ひとりひとりの『健康寿命』を延ばすため、ご自身の身体・栄養面に目を向けてフレイルを予防し、充実した社会生活を送ることが大切です。
作業療法士 相川奈央